この記事は筆者の体験記です。
うつ状態のとき、相場を見るのは正直つらかった。
判断力が落ちている自覚はある。
気力も集中力も続かない。
それでもチャートだけは、いつも通り動き続けていた。
その中で、はっきりと気づいたことがある。
わたしにとって、新しい取引を控える必要がある状態だった。
うつ状態で相場を見るということ
当時のわたしには、相場が次のように見えていた。
・小さな値動きが異常に大きく感じられる
・含み損が「耐えられない苦痛」に変わる
・冷静な判断よりも、不安が先に立つ
特に危険だったのは、
「相場(チャート)を一日中、見続けてしまうこと」だった。
本来なら見送るべき場面でも、
5分足を何度も更新し、
値が動くたびに感情が揺れる。
この時点で、相場と自分の距離は近づき過ぎていた。
「取り返さなければならない」という思考
一番危険だったのは、次の思考だった。
「この損は、取り返さなければならない」
冷静に考えればおかしい。
損失はすでに確定しているか、
あるいは「そういう結果だった」だけだ。
それなのに、
・負け=失敗
・失敗=自分の価値
・だから取り返さなければならない
といういびつな形で、
相場と自己評価を結びつけてしまう。
この状態になると、
トレードは分析ではなく「回収作業」あるいは「復讐」となる。
そして、相場は
回収(復讐)しようとする人間を、最も容赦なく削る。
この思考が、なぜ相場構造と噛み合わないのかは、
別記事「FXの相場構造をどう読むか」で整理している。
感情とポジションを結びつける危険性
当時のわたしは、ポジションに対する感情と注文の判断を分けにくくなっていた。
・損切り=自分を否定する行為
・利確=まだ早い気がすると弱気と強気のせめぎ合い
・建値撤退=逃げている感覚
どれも、相場とは無関係な感情だ。
重要なのは、
これは「うつ状態だから起きる」わけではない
という点だ。
健康な状態でも、人は簡単にこの思考に陥る。
少なくとも当時のわたしは、この思考に気づいて立ち止まることが難しかった。
相場から距離を取るという判断
この経験から、はっきり決めたことがある。
状態が悪いときは、相場から距離を取る。
何もしないことは、逃げではない。
トレードしないことも、立派な判断だ。
相場は毎日ある。
チャンスは、後からでもいくらでも来る。
体調や精神状態を無視して続ける方が、よほど致命的な判断になる。
体調の相談と、残っている注文の確認を分ける
「新しい取引をしない」と「保有ポジションを放置する」は別です。画面を閉じても保有ポジションや未約定注文は自動でなくなりません。数量・注文の有効期限・決済注文の状態を確認し、操作が分からない場合は利用するFX会社の窓口で確認してください。
心身の不調については、取引成績と切り離して医療機関へ相談してください。厚生労働省の解説でも、つらい体の症状やこころの症状について、かかりつけ医や精神科へ早めに相談することが案内されています。出典:厚生労働省「体の不調はうつ病でも現れます」(2026年10月1日確認)。
まとめ
相場で一番守るべきものは、
資金でも、勝率でもない。
自分の体の状態を無視しないこと。
相場は正しさでも、努力でも動かない。
だからこそ、
自分を壊して、
限界ぎりぎりまで体力を削り、
向き合っても得られるものは少ない。
(「ない」と断定してもあながち間違いではないと、わたし自身は感じている。)
体の調子の悪い時は、「しない」を選択しなければならない。
風邪や睡眠不足などの身体的不調、うつ状態や混乱の状態などの精神的不調のときだけではありません。怒り、悲しみなどのマイナスの感情、喜びなどのプラスの感情に満たされているときにもです。(少なくとも、相場に向き合う瞬間は、フラットな感覚を保つ必要があります。)
これは、勝つための話ではない。
生き残るための話。
相場との距離の取り方は、人それぞれ違います。
ですが、無理をしない判断があることを、選択肢として残しておくことは大切だと感じています。


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